伊勢神宮の遷宮でも技発揮 かや屋根ふき工・松澤敬夫さん(76歳)

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厚生労働大臣表彰「現代の名工」に県内の建築関係から、かや屋根ふき工の松澤敬夫さん(小谷屋根、小谷村)が選ばれた。各分野で卓越した技能を持ち、その分野の第一人者と目されている技能者に贈られる同賞。今年は465人の推薦者の中から150人が選ばれ、県内からは松澤さんを含む3人だった。

 

「かやぶき職人は多くの人の支えの上に成り立っている」。かやぶき民家を守る住まい手、材料となる「かや」を育て守る人、その民家を保存するために努力する建築家――「そうした人たちの協力があって、日本が誇る伝統の技『かやぶき屋根』は守られている」という。今回の受賞はそうした仲間たちと一緒に喜びを分かち合いたいと語った。

 

北安曇郡小谷村に生まれ育ち、中学卒業と同時にかやぶき職人の父に弟子入り。以来約60年、文化財をはじめ数多くの「かやぶき建築」の現場でその腕を発揮してきた。技術が認められ、2010年から5年間、伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)で社殿の屋根ふき替えにも携わった。「これまでの努力が認められ、全国の仲間とともにやり遂げた大きな仕事。職人人生の中で思い出に残る仕事、5年間だった」と振り返る。

 

現在も3代目となる息子・朋典さんら会社の仲間とともに現場の第一線で活躍するが、そのかたわら、次世代への技術の伝承やかやぶき建築の保全活動にも力を注ぐ。「受け継がれてきた日本の伝統技術。それを守り伝えていくために自分ができることを精一杯やり遂げたい」。職人連合の全国組織の立ち上げに尽力し、同組織の現会長でもある。また一般の人にかやぶき屋根の魅力を伝える体験会の指導者などとして、忙しく県内外を飛び回る毎日だ。

 

いま76歳。「できたらあと10年、孫の成長を楽しみにしながら現役として活躍していきたい」と力強く語る。「日本の素晴らしい伝統を、変わらぬものとして残していきたい」