中小土木企業の収益が厳しい 売上1億を境に利益率マイナス

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東日本建設業保証は2017年度の建設業の決算分析結果をまとめた。保証取り扱いのあった管内企業のうち、2万2088社の決算書から「収益性」「活動性」「生産性」「流動性」「健全性」の5項目について各種財務指標を算出したもの。主要指標の大半が前年より良化し、県内企業も改善がみられるが、依然として「収益性」「生産性」「活動性」は東日本平均に比べ大幅な低水準だ。とくに工事採算性に関係する「収益性」は、土木系企業と売上1億円未満の小規模企業の低迷が目立ち、他の都県の伸びに追いつかない状況が続いている。(竹内美樹)


長野県内建設業871社の財務指標は、ほぼ前年同様の傾向となった。

 

東日本全体の数字と比べると、資本調達の源泉が健全なことを示す「健全性」と資金繰りの余裕を表す「流動性」は平均以上。半面、稼ぐ力を表す「収益性」、経営資源から付加価値を生み出す効率を示す「生産性」、経営の活発さを示す「活動性」の3項目は依然として低い水準にある。

 

なかでも「収益性」は、総合的な収益力を示す「売上高経常利益率」(経常利益/売上高×100)が管内23都県中22位、本業の収益力を表す「売上高営業利益率」(営業利益/売上高×100)も同じく22位と、東日本平均を大きく割り込んでいる状況だ。

ただし、いずれの指標も前年よりは良化している。工事採算性の良否基準としても使われる「売上高営業利益率」であれば、前年の1.46%が1.57%に改善。それでも管内22位に低迷しているのは、他県がそれ以上に良化しているためだ。東日本全体の伸びに追いついていない。

 

「県内企業の売上高営業利益率は、公共事業が増加した2014年度に大きく良化。以降2年連続で低下し、今回は数字は上昇したものの、順位は管内の下位に低迷している」と東日本建設業保証長野支店の小倉貴良支店長。「復興需要のある東北や五輪需要のある東京など、他都県との差はむしろ広がっている」と話す。

 

自治体工事の減少が影響

 

県内建設業の収益性を業種別でみると、電気、管の売上高営業利益率はそれぞれ4.29%、3.32%と、全平均の1.57%を上まわる。一方で建築は1.05%、さらに土木は0.66%と大幅に平均を下まわり、明暗が分かれた格好だ。

 

売上規模別でみると格差はさらに顕著。売上30億以上の企業の売上高営業利益率は4.78%、10億〜30億は4.26%、5億〜10億は4.48%、1億〜5億は2.46%といずれも平均を上まわっているが、1億未満の小規模企業はマイナス1.74%で、良否がはっきり分かれた。

 

同社長野支店は収益性低下の背景について、県内の保証取扱高(請負金額ベース)の推移を県外企業・県内企業別に提示。それによると2017年度の取扱高は、全体では過去5年間で最高になっているものの、県内企業に限れば最低となっている。

 

さらに県内企業の取扱高を発注者別にみると、過去5年間でピークとなった2014年度以降、県工事と市町村工事が継続的に減少。比べると2017年度は県工事が54億円、市町村工事に至っては約202億円もピーク時から下がっていて、同支店は「このことが利益率に大きく影響している」とみる。

 

小倉支店長は「県内建設業の収益性は県、とくに市町村工事との因果関係が深い。自治体の工事量が欠かせない」と指摘。「安定受注に向けて業界が要望していくことが重要になっている」と話す。