建設のICT、最新技術の注目は? 目立つ「見える化」と「低コスト」

フォーカス iCon

5月9日〜11日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「2018 Japan IT Week 春」(リードエグジビションジャパン主催)。今年も同展示会には多くの建設関連企業が出展し、新しい技術を来場者に紹介した。昨年は無人化施工やインフラ検査におけるAIの活用などが話題になったが、今年は現場での実践的な活用に目が向けられた展示となり、ビッグデータによる見える化と低コスト化が目立つものとなった。(酒井真一)


同展示会では「AI・業務自動化展」や「IoT/M2M展」「クラウドコンピューティングEXPO」など、13に及ぶテーマの展示会が同時に開かれた。なかでも建設関連の技術が多く並んだのは「IoT/M2M展」だ。

 

IoTはInternet of Thingsの略で「モノのインターネット」を指し、あらゆるモノをインターネットでつなぐ技術。M2MはMachine To Machineの略で「機械間の通信」を意味する。この二つの概念を組み合わせることで、簡単にいえばセンサーで効率的に情報を取得しながら、それをビッグデータ化することが可能となる。

 

建設業で使えば、たとえば現場で作業する従業員の危険を感知し、健康状態や安全かどうかを現場監督や本社スタッフが管理するようなシステムが実現できる。

 

今回の展示会では、IT製品の販売やソフトウェア開発を行うシステナ(東京都)が同様のシステムを出展。作業服の下にセンサーを取り付けることで、従業員の心拍数や血圧をリアルタイムで測定し、体調や健康状態を一元管理するもので、その場その場の状況確認だけでなく、データを蓄積して将来の現場の安全対策のデータとすることも可能だ。

 

企業ごとにカスタマイズする必要があるため参考価格になるが、初期導入費用は約9万円ほど、月額では1万5000円ほどになる。センサーは導入する数にもよるが、1個当たり月額500円程度だという。

 

NTTコミュニケーションズとNTTPC(いずれも東京都)も同様に現場で働く従業員の健康管理システムを展示。こちらは作業服の下に取り付けるセンサーではなく、リストバンド型の活動量計なのが特徴だ。従業員の脈拍を感知し健康状態をクラウド管理することに加え、従業員が緊張や焦りを感じた瞬間をデータに保存し、どんな場所でどんな時間に危険が潜んでいるのかを「見える化」することができる。リストバンド型の活動量計10台から月額2万円ほどの料金プランを用意した。

 

防災にも低コストなシステム

 

人体ではなく自然環境に対する感知・検査システムでは、河川の水位計など防災に関する機器が目立った。アンテナや計測器などを扱う日本アンテナは、クラウドと連携して河川などを管理する水位監視システムを展示。920MHzの独自通信方式により、最大10kmの距離まで通信が可能で、クラウドによって遠隔で水位を監視し、洪水時には避難警報を発することができる。独自通信のため親機と水位計は通信費が掛からず、親機1台の金額は月額1000円のみ。

 

同システムは国土交通省の「革新的河川監視プロジェクト(第一弾)」実証実験に参加しており、担当者によれば「今後、国だけでなく県や市町村レベルでの導入を考えて、できるだけ安価にした」という。

 

現場全体を見える化

 

さらに一歩進み、現場全体の情報を取得し、ビッグデータ化しようというのが、NTTドコモ、SAPジャパン、ベンチャー企業のオプティムらが共同で立ち上げた新会社「LANDLOG」が出展していた「建設現場IoTプラットフォーム」だ。

 

同プラットフォームは、センサーによって作業員や職員の位置情報や心拍数などを得るのはもちろん、現場に設置したカメラを使った建機の位置情報取得や、ドローンによる土の変化のデータ化、現場を行き来するダンプの土砂量の計測などを集約・分析して「見える化」する。作業員や職員の労働時間管理や、職員と職長・職人間のコミュニケーション補助の機能も搭載する。

 

同社によれば、昨年、ゼネコンが施工する建設現場2カ所で実証実験を行った結果、現場の事務作業が効率化でき「職員1人当たり1日最大で約2時間の労働時間の削減余地があることが判明した」という。「工程・品質・安全・原価管理に加え、建設現場の『働き方改革』推進に役立つソリューション」(同社担当者)として今年3月から実際に提供を開始している。

 

建設現場全体の「モノ」をデータで結び付けて見える化するという大きな試みのため、コスト面では中小企業にとって導入が容易な額にはならないということだが、担当者によれば「建設キャリアアップシステムとも連携していく予定」で、さまざまな地域の現場に対応し、カスタマイズのノウハウを蓄積することで、導入コストも下げられるという。