なぜ「広報」が必要なのか? 長谷川新建設部長インタビュー

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 4月1日付の人事異動で、長野県建設部長に前建設技監の長谷川朋弘氏が就任した。新たな総合5か年計画の推進、災害対応への備え、働き方改革、担い手確保、平準化、生産性の向上――取り組むべき課題は多い。それらを横串で貫くテーマが「広報」だ。就任初日、なぜいま建設に広報が必要なのかを聞いた。

 

目指すのは発信する建設部

 

 「インフラ整備効果の記者発表をどんどんやっていきます」。目指すは発信する建設部だ。

 

 公共事業が県民の安全・安心を支え、地域経済にも深く寄与する重要な政策分野であることは論を待たない。だが、数多の課題を抱える県政にあって、事業予算をしっかり確保するには、県民の理解を獲得することが不可欠だ。

 

 「公共事業の重要性をきちんと理解していただくためには『広報』が絶対に必要です」

 

 情報発信の手段は多様。講演会、見学会、イベント――なかでも一番効果的なのが、インフラ整備がニュースになること、すなわち「マスコミの報道で取り上げられること」だという。

 

 そこには当然、スキルが要る。どうすれば心に訴える資料をつくれるか、作成の手順・手法を自らマニュアル化し、すでに建設事務所の担当者に向けて説明を始めた。

 

 「ホームページにリリースをアップしただけでは、誰も注目しません。記者が取り上げやすいよう、たとえば『長野県初』とか『日本初』とか、訴えたいポイントを絞り込む。的を外さずに表現することが大切です」

 

生産性と担い手確保にシナジー

 

 ICT導入においても姿勢は同じ。もちろん第一目的は建設産業の生産性向上だが、同時に、最先端技術を広く発信することで担い手確保策との間にシナジー効果を出したいという。

 

 実際、3D測量も、マシンガイダンス・コントロールも、従来の土木現場のアナログなイメージからはほど遠い。「建設技術は遅れているどころか最先端。そうしたイメージが正しく浸透すれば、とくに学生や若者にはインパクトがあります。建設を就職先として志す人が多少なりとも増えるのではないでしょうか」

 

自治体のまちづくりを支援

 

 市町村への発信も強める。テーマは「まちづくり」。今年度から始まった新たな総合5か年計画で、チャレンジプロジェクトに位置付けられた「信州地域デザインセンター(仮称)」がそれだ。自治体が地域の自然や文化を生かしたまちづくりを進められるよう、県が持つさまざまなノウハウを、場合によっては民間の力も使いながら、提供して支援する。

 

 自分たちのコンテンツを臆せず伝えるには、自身への「理解」と「誇り」が欠かせない。「建設は遅れた産業などと思う必要はまったくない。むしろ最先端をゆく重要な産業であるという自覚を持ってほしい」と、すべての建設人に呼びかける。

長谷川朋弘(はせがわ・ともひろ)氏

1965年6月生まれ。神奈川県横浜市出身。東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修了。国土交通省道路局国道・防災課道路保全企画室長、同局同課国道事業調整官、同局企画課国際道路調査官などを歴任。前職は長野県建設技監。